2011年4月5日火曜日

読書:原発とプルトニウム



常石敬一(2010)原発とプルトニウム-パンドラの箱を開けてしまった科学者たち.280pp.PHP研究所,東京.

を読みました。

この本のメインは
原発とプルトニウムの技術的な解説ではなく、
どちらかというと、
X線を発見したレントゲンから始まり、
原爆、原発の開発に至る科学史に関するものです。


放射性物質の研究の黎明期に
その不思議で、とてつもない能力を少しずつ明らかにしていったときの
科学者の興奮がよく伝わってきて、
私自身、まるでその場に立ち会っていたかのような感動が味わえました。


一方で
発展期には
放射性物質の研究が政治、おもに戦争に利用されはじめ、
原爆の開発に関わった科学者たちの苦悩が描かれていて、
とても興味深かったです。


当時の科学者にとって
原爆の開発は
成功すれば
敵国の非常に多くの人を殺すことになるのでヤメたいという思いと、
原爆の開発競争に敗れたら、
自国の非常に多くの人が原爆で殺されることになるので、
一日も早く原爆を開発しなくてはならない、
という相反する思いがあったようです。


私が当時の研究者だったらどうしたでしょうか?
自国を助け、敵国を倒すために原爆の開発に参加したでしょうか?
自国を滅ぼされることになっても、多くの人を殺す原爆の開発を拒否したでしょうか?


原発の実験に成功したあと
ベインブリッジという研究者は他の研究者にむかって、
『おれたちはどいつもこいつもくそったれだ。』
と言ったのが、
とても切なかったです。



タイトルと内容が若干合ってないような感じもしましたが
全体的にとても面白かったです。

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